
- INDEX目次
目次【非表示】
- 1.レーザ加工とは?
- 2.レーザ加工の原理
- 3.レーザの種類
- 3-1.固体レーザ
- 3-2.気体レーザ
- 3-3.液体レーザ
- 3-4.ファイバーレーザ
- 4.レーザーの波長毎の特徴
- 4-1.赤外線領域のレーザー
- 4-2.可視光域のレーザー
- 4-3.紫外線レーザー
- 5.レーザ加工のメリット・特徴
- 5-1.高い作業効率
- 5-2.綺麗な仕上がり
- 5-3.複雑な加工が可能
- 5-4.高い加工自由度
- 5-5.面倒なメンテナンスがない
- 6.レーザー加工のデメリット
- 6-1.①厚い素材は加工が難しい
- 6-2.②反射率の高い素材は加工不可
- 6-3.③コストが上がりやすい
- 6-4.④加工速度が遅くなりがち
- 7.レーザー関連製品について
- 7-1.レーザ測定器
- 7-2.レーザ発振器
- 7-3.ビームガイド
- 7-4.レンズおよびミラー
- 7-5.制御装置
- 7-6.冷却装置
- 8.レーザ加工機の特性と最新技術:加工精度を左右する要因とは?
- 9.SEISHINのレーザ加工装置の特徴
- 9-1.ステルスダイシング技術とは
- 9-2.ステルスダイシング技術のメリット
- 9-3.ブレードダイシングとの違い
- 10.SEISHINのレーザ加工装置がおすすめな人
レーザ加工とは?
レーザ加工とは、高エネルギー密度のレーザ光を使用して、素材に照射し、融解や蒸発を引き起こして切断や穴あけを行う加工技術です。
この技術は、金属や木材に加え、ゴムや布地などの柔らかい素材にも対応できるため、多くの業界で広く利用されています。
効率的かつ精密な加工が可能であり、複雑な形状の製作も容易に行えます。近年では、医療分野への応用も増えており、手術用のレーザメスなどがその一例です。
レーザ加工の原理

レーザー加工は、モノの表面にレーザー光を当てることで、素材を削ったり溶かしたりして加工する技術です。非常に応用範囲が広く、いろいろな製品づくりで活躍しています。レーザー光の持つ集中したエネルギーを使い、対象となる材料に熱を加えて、目的に合わせた加工を実現します。
レーザーはとても直進性が高く、しかも高出力で照射されるため、材料の表面は一気に高温になります。この熱で素材が溶けたり蒸発したりすることで、必要な形状に加工できるという仕組みです。
たとえば、金属にレーザー加工を行う場合、レーザー光が当たった部分が急激に加熱されることで、表面が溶けたり蒸発したりして、狙った形に加工されます。さらに、使うレーザー光源の種類によっても加工の特徴は変わります。CO2レーザーやファイバーレーザーなど、波長の異なるレーザーが使われていて、それぞれの特性を活かした加工が行われています。
レーザの種類
レーザー加工で使われるレーザーには、さまざまな種類があり、それぞれが異なる仕組みと用途を持っています。よく使われるものとしては、固体レーザー、気体レーザー、液体レーザー、そしてファイバーレーザーがあります。それぞれのレーザーは、発生する光の波長や出力の特徴によって分類されていて、加工する素材や目的に応じて使い分けられています。
たとえば、金属の加工に適した高出力タイプや、細かい彫刻に向いている精密タイプなど、それぞれに強みがあり、用途に合わせた選択がポイントになります。

固体レーザ
固体レーザーは、レーザー媒質として固体の結晶やガラスを使うタイプのレーザーです。中でも有名なのが「Nd:YAGレーザー」で、金属の切断や溶接などで優れた性能を発揮します。このレーザーは非常に強力なビームを出せるので、厚みのある素材の加工にもぴったりです。
強い出力が必要な場面で活躍するため、重厚な部品の加工や、耐久性が求められる製品づくりにもよく使われています。
気体レーザ
気体レーザーは、その名の通り、レーザー媒質として気体を使うタイプのレーザーです。代表的なものが「CO2レーザー」で、特に非金属素材の切断や加工でよく使われています。CO2レーザーは広い波長域を持っているのが特徴で、さまざまな素材に対応できるため、プラスチックや木材の加工にとても適しています。
紙やアクリル、皮革などにも幅広く活用されていて、細かいカットから彫刻まで、多様な加工が可能です。コストパフォーマンスが良い点も魅力のひとつです。
液体レーザ
液体レーザーは、レーザー媒質として液体を使用するタイプのレーザーで、代表的なものに「染料レーザー」があります。可変波長を持つのが特徴で、特定の波長で高い出力を発揮できるため、特定の素材や用途に合わせた加工が可能です。
この特性を活かして、液体レーザーは生物学的な研究や分析の現場でよく利用されています。たとえば、細胞の分析や蛍光測定など、精密な波長調整が必要な作業に向いているのがポイントです。
ファイバーレーザ
最後にご紹介するのがファイバーレーザーです。これは、ガラスファイバーを使ってレーザー光を生成し、エネルギーを効率よく伝えることができるレーザーです。
その優れたエネルギー効率と小型化が特徴で、特に金属加工の分野で高い注目を集めています。精密な切断や彫刻ができるうえ、消費電力を抑えながら強力な出力を発揮できるため、生産現場での導入が進んでいます。コンパクトな設計なので、スペースが限られる工場でも使いやすいのがポイントです。
レーザーの波長毎の特徴
これまでご紹介したレーザーの種類に加えて、レーザーは「波長」によっても特性が大きく変わります。用途に応じて適切な波長を選ぶことが大切です。
レーザーはもともと電磁波の一種で、波長によって性質が異なります。そのため、見た目の色が変わるだけでなく、素材との相互作用にも影響を及ぼします。たとえば、ある波長のレーザーは金属によく吸収されますが、別の波長のレーザーではプラスチックやガラスの加工に適していることもあります。
目的や加工する材料に応じて、波長の違いをしっかり理解して使い分けることが、レーザー加工をうまく活用するポイントになります。

赤外線領域のレーザー
まず、赤外線領域のレーザーとして代表的なのが「CO2レーザー」です。波長は10.6µmで、特に有機材料や金属の加工に向いています。この波長は、皮膚や肉などの生体組織にもしっかり吸収されるため、医療分野でも幅広く活用されています。
赤外線レーザーは熱伝導性の高い材料に深く浸透しやすいという特長があります。そのため、大きな熱エネルギーを効率よく供給でき、しっかりとした加工が可能になります。工業用としてはもちろん、医療の現場でも欠かせないレーザーです。
可視光域のレーザー
一方で、可視光域のレーザーは波長が400〜700nmの範囲にあり、主にプラスチックや木材の加工に適しています。 特に青色や緑色のレーザー(たとえばファイバーレーザー)は、色素がよく吸収する性質があり、より精密な加工ができるのが特徴です。
たとえば、青色レーザーはアルミニウムに対しても非常に良い加工性を持っています。この特長を活かして、新しい製品の開発や加工技術の向上がどんどん進められています。色の波長と素材の相性を理解することで、より高品質な加工が可能になるのです。
紫外線レーザー
さらに、紫外線レーザー(たとえば Excimerレーザー)は、波長が193nmや248nmと非常に短いのが特徴です。そのため、微細加工や導体パターンの形成に特に効果を発揮します。
この高い精度を活かして、半導体産業では精密な加工が行われており、ナノテクノロジー分野でもその活用が進んでいます。わずかな部分にエネルギーを集中できるので、細かな形状を必要とする最先端の技術開発に欠かせない存在です。
このように、レーザーは波長ごとに異なる特長を持ち、それぞれが多様な産業で活躍しています。こうした違いをしっかり理解して使い分けることが、最適なレーザー加工を実現するポイントです。

レーザ加工のメリット・特徴
レーザ加工は、高精度・高効率な加工を実現する技術で、多くのメリットが存在します。
高い作業効率や、綺麗な加工仕上げはもちろん、複雑な加工も得意としています。
高い作業効率
従来の金属加工では、作業のたびに金型の準備や交換が必要で、その分時間がかかってしまい、生産性が落ちる原因になっていました。特に大量生産の現場では、この金型作りの手間が大きな障害になります。たとえば、特定の形やサイズの金属を加工する際、金型の製作だけで数週間かかることもあります。
一方で、レーザー加工はパソコンで作成したデータを使うため、金型を作る必要がなく、プログラムを入力するだけですぐに加工を始められます。そのおかげで、事前準備にかかる時間を大幅に短縮できます。たとえば、大量の部品が必要な場合でも、レーザー加工なら設計データさえあればすぐに製品を作り始められるのです。
さらに、レーザー加工は非常に精密で、細かな形状も簡単に再現できます。これにより、作業の無駄を減らせるだけでなく、材料をムダなく使えるためコスト面でもメリットがあります。もちろん、仕上がりの美しさが求められる製品にも、レーザー加工はしっかり対応できます。
とはいえ、レーザー加工にも弱点はあります。たとえば、厚みのある金属の加工は難しいことがあり、反射率の高い素材では加工がうまくいかない場合もあります。それでも、金型を使った従来の方法に比べれば、レーザー加工は圧倒的に効率的です。だからこそ、いま多くの業界でレーザー加工が活用されているのです。
綺麗な仕上がり
レーザー加工は、その特性を活かしてとても美しい仕上がりを実現できる技術です。
たとえば、金属を切ったり穴を開けたりする場合、従来の加工方法では「バリ」や「カエリ」と呼ばれる金属の出っ張りができやすく、これが後処理の手間を増やしてしまいます。特にプレス加工では切断面が粗くなりがちで、仕上げ作業が欠かせませんでした。
その点、レーザー加工では高精度なビームを使って材料を切るため、切断面がとても滑らかで、バリがほとんど発生しません。これによって後処理の必要がほとんどなくなり、作業工程を大幅に短縮できます。実際にレーザー加工を取り入れている企業では、加工時間の短縮やコスト削減につながったという声が多く聞かれます。
さらに、レーザー加工は熱による変形が少ないため、金属の性質を損なわずに加工できるのも大きなポイントです。これにより、材料の強度や精度をしっかりと保ちながら、美しい仕上がりが実現できます。
また、異なる種類の金属にも柔軟に対応できるので、電子機器や自動車部品など、高い精度が求められる分野でも広く活用されています。切断面の美しさは、製品の品質に直結する重要なポイントです。
このように、レーザー加工は金属の切断や穴あけで優れた仕上がりを提供し、効率的で高品質な加工を可能にする技術として、多くの現場で活躍しています。
複雑な加工が可能
レーザー加工は、他の加工方法では難しいような複雑な形状やデザインも、正確に表現できる優れた加工技術です。
たとえば、細かなデザインや特定のパターンが必要な部品でも、レーザーなら高度な精度で切断や彫刻が可能です。特に、入り組んだ曲線や繊細なディテールが求められる場合でも、しっかりと対応できるのが強みです。
さらに、レーザー加工が優れているポイントとして、幅広い素材に柔軟に対応できることが挙げられます。アクリルや木材はもちろん、金属などさまざまな素材に対して、それぞれに適した加工条件を設定することで、効率よく美しい仕上がりが得られます。
たとえば、金属に精密な彫刻を施す際には、その金属の特性に合わせたデータと加工パラメーターをしっかりと調整することで、高い精度の加工が実現できます。このように、レーザー加工は単なる切断や彫刻にとどまらず、素材ごとの特徴を活かしながら、デザイン性の高い加工を行える点が大きな魅力です。
高い加工自由度
レーザー加工の大きな魅力のひとつは、その高い加工自由度です。金属のように硬い素材から、革や布といった柔らかい素材まで、さまざまな材料に対応できるのが特徴です。これは、レーザーレンズや照射出力を調整することで実現しています。
たとえば、金属製品には高出力のレーザーを使って切断や穴あけが可能です。一方で、熱に弱い薄い素材や革製品には出力を抑えて加工することで、余計な熱を加えずに細かいマーキングや彫刻ができます。これにより、デザインの幅が広がり、ひとつの機械でさまざまな加工がスムーズに行えるのです。
さらに、レザーカスタマイズの分野では、個別のアイテムに名前や模様を彫刻することで、オリジナリティのある商品をつくることができます。たとえば、歓送迎会や記念品として、名前入りのギフトやメッセージ付きのアイテムを作れば、特別感のある贈り物になります。
また、従来の加工方法では多くの機械や工程が必要でしたが、レーザー加工なら一台で多様な加工ができるため、製造プロセスを大幅に簡略化できます。これにより、全体のコスト削減にもつながります。こうした点から、レーザー加工は多様な製品に対応しつつ、効率的で柔軟な生産を可能にする技術と言えるでしょう。
面倒なメンテナンスがない
レーザー加工は、他の加工方法と比べてメンテナンスがとても簡単という大きなメリットがあります。一般的な切削工具や研削装置のように、材料と工具が直接触れることがないため、刃物や盤面がすり減ることがありません。これによって、面倒なメンテナンス作業が不要になり、作業者の負担をぐっと減らすことができます。
たとえば、従来の切削加工では、刃物が材料を切るときにたくさんの粉塵や切削くずが発生します。これらの付着物を掃除するには手間がかかり、作業効率も下がってしまいます。一方、レーザー加工ではこうした粉塵がほとんど発生しないため、作業環境をクリーンに保つことができ、スムーズに作業を進められます。
さらに、レーザー加工機のメンテナンスは、主にミラーやレンズの清掃、アシストエア用のフィルター整備など、比較的シンプルな作業で済みます。交換部品の発注や管理といった手間も減らせるため、作業効率の向上にもつながります。たとえば、従来の加工設備では刃物交換やメンテナンスのために生産ラインを止めなければならない場面が多くありましたが、レーザー加工ならそのリスクが大きく減るのです。
このように、レーザー加工はメンテナンスの手間が少なく、効率的な生産をサポートしてくれる技術です。製造現場では、生産性を高めるための強い味方として、ますます活用が広がっています。

レーザー加工のデメリット
レーザー加工は数多くのメリットを提供しますが、デメリットも存在します。
①厚い素材は加工が難しい
ほとんどの素材を加工できるレーザー加工ですが、厚い素材に対しては特に注意が必要です。
厚い素材を加工する場合、レーザーの光は集中して特定の範囲でのみ最大の威力を発揮します。このため、焦点距離が重要なポイントとなります。例えば、1センチメートル以上の厚さを持つ金属や木材を扱おうとすると、焦点距離から距離が離れるため、レーザーのエネルギーが十分に素材に届かず、加工が難しくなるのです。結果として、切断が困難だったり、切断面の仕上がりが粗くなったりすることがあります。
さらに、厚い素材の場合、単にレーザーの出力を高めるだけでは問題を解決できないこともあります。高出力で処理しようとすると、熱が過剰に発生し、素材が変形したり焦げたりするリスクがあります。特に金属などの導電性素材は、熱伝導が良いため、内部まで熱が広がり、局所的な加工ではなく全体的な影響を及ぼすことがあるため、手間と時間を要する結果になりがちです。
このように、厚い素材の加工は多くの技術的な課題を抱えています。ただし、適切なレーザー機器と加工技術を用いることで、もしかしたら効率的な加工が可能となることもあります。しかし、一般的には厚い素材の加工には向いていないと言えるでしょう。
②反射率の高い素材は加工不可
アルミや銅といった反射率の高い素材は、レーザー光をしっかり吸収できないため、レーザー加工が難しくなることがあります。
特に、レーザー加工機の種類によっては、これらの素材が光をはね返してしまい、思った通りに加工が進まないケースが見られます。反射率が高い素材は、レーザー光が表面で反射してしまうので、熱が内部まで届かず、うまく加熱や切断ができないのです。そのため、こうした材料を扱う際には、専門的な技術や専用機材が必要になります。
たとえば、アルミニウムを加工する場合は特に注意が必要です。アルミは非常に反射率が高く、一般的なレーザー加工機だとうまく加工できないことがあります。そこで、専用の波長に調整したレーザーや、反射を抑えるためのコーティングを施したレーザーを使うなどの工夫がされています。
このように、反射率の高い素材を加工する際には、素材に合った機械や加工技術の選定が欠かせません。もし適切な対策をしないまま加工を進めると、作業工程全体に影響が出ることもあるため、事前にしっかりと素材の特性を把握し、試作段階での検証が必要です。
③コストが上がりやすい
レーザー加工機は、その高い精度と柔軟性から多くの現場で重宝されていますが、コスト面にはしっかり注意が必要です。
レーザー加工機は、高性能なレーザー発振器や光学系、そして精密な制御装置が組み合わさって構成されています。そのため、装置の価格はどうしても高くなりがちです。特に産業用の大型レーザー加工機では、数百万円から数千万円することも珍しくありません。さらに、初期投資だけでなく、運用するうえで必要となる消耗品や維持費もばかにできないポイントです。
たとえば、焦点レンズやミラーは使う頻度に応じて定期的な交換が必要です。これらは加工精度に直結する重要な部品なので、耐用年数を過ぎる前にしっかり交換することが求められます。ただし、これらの交換部品も安くはなく、数万円から数十万円かかることがあります。
さらに、レーザー加工中に発生する熱の管理も大事なポイントです。熱管理システムを適切に運用しないと加工品質が落ちてしまうため、専用の設備投資やランニングコストが発生します。電気代やガス代などの光熱費も、長時間稼働させる場合には無視できない出費になります。
このように、レーザー加工機を導入する際は、装置の購入費用だけでなく、日々の運用にかかる費用もしっかりと計画し、見積もりを立てることが大切です。コストが膨らむと企業の利益に直接影響しますので、導入前に慎重な検討が欠かせません。
④加工速度が遅くなりがち
レーザー加工は、非接触で素材を加工できるため高い精度が得られる一方で、加工速度が遅くなりがちです。レーザー光を素材にピンポイントで照射し、素材を溶かしながら切断や加工を行うため、どうしてもある程度の時間がかかってしまいます。特に薄い素材なら比較的スムーズに進みますが、厚みのある材料になると加工時間が長くなる傾向があります。
もちろん、レーザー加工機の出力を上げることでスピードアップは可能です。しかし、これは一長一短です。出力を高めて照射時間を短くすれば加工時間は短縮できますが、そのぶんバリやドロスが発生しやすくなり、仕上がりに影響が出ることがあります。特に、切削加工と比べるとこの違いは顕著で、プレス加工や切削加工のほうが大量生産には向いていると言えるでしょう。
また、レーザー加工は機械的な接触がないため、摩耗や部品の劣化が少なく、メンテナンスの負担は軽減されます。ただし、素材の厚さや特性によっては、思った以上に時間がかかることもあります。市場のニーズがますますスピードを求める中で、こうしたレーザー加工の速度面の課題は、今後の技術革新による改善が期待されています。
レーザー関連製品について
レーザー加工機を構成する基本的なコンポーネントを紹介します。
レーザ測定器
レーザー測定器は、寸法測定や位置決めにおいて、非常に高い精度を誇ります。これにより設計図通りの加工を効率よく行うことができ、品質管理の向上につながります。特に建築業界や土木工事では、その直線性や精度の高さが求められ、レーザー技術は大いに活用されています。
レーザ発振器
レーザ発振器は、高効率で安定したレーザー光を生成する重要な装置です。発振器の設計には、様々な材料や構造が用いられ、その種類によって出力特性や用途が異なります。常に信頼性の高いレーザーを供給することが求められ、精密な制御技術が重要です。
ビームガイド
ビームガイドは、レーザー光を適切に導くための重要な装置です。高品質なビームガイドは、光の伝達効率を向上させ、加工精度を高める役割を果たします。
レンズおよびミラー
レンズはレーザビームを集束させ、加工対象物への焦点を調整することで、効率的なエネルギー伝達を実現するのに用いられます。
一方、ミラーはビームの方向を変えるために使用され、特定の設計において必須の要素となります。このように、レンズおよびミラーはレーザ加工の精度と効率に直接影響を与える重要な部品です。
制御装置
制御装置はレーザ加工機の中核を成し、加工の精密性を担保します。
CNC(コンピュータ数値制御)システムを活用し、加工の過程を自動化することで、効率と一貫性が向上します。
自動化ソフトウェアにより、別の加工条件でも迅速に対応でき、加工速度や位置決めの精度が確保されます。
冷却装置
主にレーザ発振器や加工ヘッドの温度を適切に管理するたには、冷却システムが必要です。冷却が不十分だと、レーザの出力が低下したり、安定性を失ったりする恐れがあります。
レーザ加工機の特性と最新技術:加工精度を左右する要因とは?
レーザー加工機は、そのレーザーの種類によってそれぞれ異なる特徴を持っています。たとえば、CO2レーザーは波長が10.6μmと長く、非金属の切断や彫刻にとても適しています。一方、ファイバーレーザーは波長が1.07μmと短く、金属加工にぴったりです。こうした違いは、材料への熱の入り方や加工スピードに直接影響します。
レーザー加工機の仕組みでは、レーザーの出力をコントロールするためにミラーが使われています。このミラーの配置や反射率、ビームの幅などが、加工の精度や仕上がりに大きく関わります。特に細かな加工を行う場合には、これらの要素がとても重要になります。
また、レーザー加工は熱を使って素材を加工するため、材料が焼けたり変形したりするリスクもあります。だからこそ、高速で作業できる加工機を選ぶことが、品質や耐久性を高めるポイントになります。実際に、今では高速で動作するXYテーブルやプログラム制御による自動化技術が導入されており、加工スピードがどんどん向上しています。
さらに最近では、コンパクトで多機能なレーザー加工機も増えてきており、小規模な製造業者でも手軽に導入できるようになっています。中でもファイバーレーザー加工機は、省エネルギーでありながら高い加工精度を持っていることから、多くの支持を集めています。こうした技術の進化によって、レーザー加工はさまざまな業界でますます普及が進んでいます。
SEISHINのレーザ加工装置の特徴

ここまでご紹介してきたとおり、「レーザー加工」にはさまざまな種類や手法があり、目的に合わせて多くのメーカーから多彩な加工機が開発されています。
その中でも、SEISHINのレーザー加工装置は、特に高い精度が求められる半導体や医療分野で活躍しています。浜松ホトニクス社の特許技術である**「ステルスダイシング」を搭載しており、この技術によって透明な材料の切断加工**が可能になっています。
実はレーザー加工には、「透明な素材の加工が苦手」という弱点がありました。たとえばガラスやサファイアのような透明な材料はレーザー光をそのまま通してしまうため、従来のレーザー加工では十分に加工できなかったのです。これは、反射率の高い素材が加工しにくいのと似た課題です。
しかし、SEISHINのレーザー加工機では、「ステルスダイシング」技術を活用することで、こうした難しい素材にも対応できます。レーザーの焦点を素材の内部に合わせて改質層を作り、そこから切断できるようにするこの技術により、これまで加工が難しかった透明素材でも美しく仕上げることができます。
ステルスダイシング技術とは
ステルスダイシング技術は、レーザダイシング加工法のひとつで、サンプルに物理的接触を伴うことなく、切断や分割のきっかけとなる加工を内部に形成する技術です。主に半導体製造プロセスにおいて、重要な役割を果たす革新的な加工手法とされており、SEISHINのレーザー加工機「ステルスダイシング3G」ではこの技術を活用しています。
詳しくは、以下のページで説明しています。

ステルスダイシング技術のメリット
レーザ加工の次世代技術であるステルスダイシングには様々な優位性を有しています。
非接触加工
・機械的な接触がないため、クリーンな加工が可能です。
・ブレードダイシングのようなダストやバリが発生しにくいのが特長です。
高精度な加工
・レーザで基板内部に切断層を形成するため、極めて高い精度で加工が可能。
・薄いウェハーや微細加工に適した技術です。
高速加工
・一度に切断層を形成できるため、作業時間を短縮できます。
・従来のブレードダイシングと比較して、高速処理が可能な場合があります。
ウェハーの歩留まり向上
・切断部分の熱影響が少なく、周囲へのダメージを最小限に抑えることができます。
・薄い基板やデリケートな素材でも損傷リスクを軽減できます。
複雑な形状への対応
レーザ技術を活用するため、曲線や非対称形状の切断も可能です。
材料の幅広い適用
サファイアやSiCなどの硬い材料や、透明素材、薄膜構造のサンプルにも対応しています。
ブレードダイシングとの違い

出展:UKAM Industrial Superhard Tools
ブレードダイシングとは、ダイヤモンドなどの硬い材料でできた薄い回転ブレードを使用し、基板を物理的に切断する方法です。レーザ加工よりも低コストでき、シリコンやセラミックといった加工に用いられます。高精度な加工を担保する一方、ダストやバリが発生するため加工後に洗浄工程が必要となる場合があります。また、加工中のサンプルへの熱影響を防ぐため水での冷却などが必要とされるため、冷却水が基板や部品に触れることを嫌う用途(例:湿気に弱い電子部品)では加工が制限されます。
レーザダイシング(ステルスダイシング)は曲線的な複雑加工もできますが、ブレードダイシングは苦手としています。
SEISHINのレーザ加工装置がおすすめな人
SEISHINのレーザ加工装置は、特に高精度な加工が求められる業界や少量多品種生産を行う企業に適しています。
また、自動化を重視する企業や、工程の効率化を図りたいと考えている場合にも有効です。
さらに、メンテナンスの手間を軽減したい方にとっても、SEISHINの装置は理想的な選択肢となるでしょう。

西進商事コラム編集部
西進商事コラム編集部です。専門商社かつメーカーとしての長い歴史を持ち、精密装置やレーザー加工の最前線を発信。分析標準物質の活用も含め、さまざまなコラム発信をします。