
- INDEX目次
目次【非表示】
- 1.レーザ加工とは?
- 2.レーザ加工の原理
- 3.レーザの種類
- 3-1.固体レーザ
- 3-2.気体レーザ
- 3-3.液体レーザ
- 3-4.ファイバーレーザ
- 4.レーザーの波長毎の特徴
- 4-1.赤外線領域のレーザー
- 4-2.可視光域のレーザー
- 4-3.紫外線レーザー
- 5.レーザ加工のメリット・特徴
- 5-1.高い作業効率
- 5-2.綺麗な仕上がり
- 5-3.複雑な加工が可能
- 5-4.高い加工自由度
- 5-5.面倒なメンテナンスがない
- 6.レーザー加工のデメリット
- 6-1.①厚い素材は加工が難しい
- 6-2.②反射率の高い素材は加工不可
- 6-3.③コストが上がりやすい
- 6-4.④加工速度が遅くなりがち
- 7.レーザー関連製品について
- 7-1.レーザ測定器
- 7-2.レーザ発振器
- 7-3.ビームガイド
- 7-4.レンズおよびミラー
- 7-5.制御装置
- 7-6.冷却装置
- 8.主なレーザ加工機
- 9.SEISHINのレーザ加工装置の特徴
- 9-1.ステルスダイシング技術とは
- 9-2.ステルスダイシング技術のメリット
- 9-3.非接触加工
- 9-4.高精度な加工
- 9-5.高速加工
- 9-6.ウェハーの歩留まり向上
- 9-7.複雑な形状への対応
- 9-8.材料の幅広い適用
- 9-9.ブレードダイシングとの違い
- 10.SEISHINのレーザ加工装置がおすすめな人
- 11.まとめ
レーザ加工とは?
レーザ加工とは、高エネルギー密度のレーザ光を使用して、素材に照射し、融解や蒸発を引き起こして切断や穴あけを行う加工技術です。
この技術は、金属や木材に加え、ゴムや布地などの柔らかい素材にも対応できるため、多くの業界で広く利用されています。
効率的かつ精密な加工が可能であり、複雑な形状の製作も容易に行えます。近年では、医療分野への応用も増えており、手術用のレーザメスなどがその一例です。
レーザ加工の原理
レーザ加工は、モノの表面にレーザーを照射し、物質を削ったり、溶かしたりすることで加工を行う技術で、多様な応用が可能です。その原理は、レーザー光の集中したエネルギーを利用し、対象物の材料にエネルギーを加えることで、特定の加工を実現するものです。具体的には、レーザー光は非常に直線的な特性を持ち、高い出力をもって材料に照射されます。この過程で、材料は瞬時に高温になり、必要な加工形状に応じて溶融や蒸発を起こします。
例えば、金属のレーザ加工の場合、レーザー光が金属表面に当たると、その部分が急激に加熱されます。この熱により表面が溶けたり、蒸発したりして、望ましい形状が形成されます。また、レーザー光源の種類によっても加工の仕組みや特徴は異なり、CO2レーザーやファイバーレーザーなど、さまざまな波長を持つレーザーが使用されます。
レーザの種類
レーザ加工に使われるレーザには多くのバリエーションが存在し、それぞれが異なる原理や用途を持っています。
一般的に利用されるものとしては、固体レーザ、気体レーザ、液体レーザおよびファイバーレーザなどがあります。それぞれのレーザは、発生する光の波長や出力の特性によって分けられます。
固体レーザ
固体レーザは、レーザ媒体として固体の結晶やガラスを使用します。Nd:YAGレーザが有名な例で、特に金属の切断や溶接において高い性能を発揮します。このレーザは、強力なビームを生成できるため、厚い材料の加工にも適しています。
気体レーザ
気体レーザは、気体をレーザ媒体として使用します。例えば、CO2レーザが広く利用されており、主に非金属材料の切断や加工に用いられます。その特長として、広範な波長域を持ち、様々な素材に対応する能力があるため、プラスチックや木材の加工に非常に適しています。
液体レーザ
液体レーザは、レーザ媒体として液体を使用するものであり、主に染料レーザがその一例です。可変波長を持つことから、特定の波長における高い出力が得られるため、特定の材料への応用が可能です。例として、生物学的な研究や分析に頻繁に使われています。
ファイバーレーザ
最後に、ファイバーレーザがあります。これは、ガラスファイバーを利用してレーザ光を生成し、効率よくエネルギーを伝送できます。このレーザは、特に金属加工分野において、その小型化やエネルギー効率の高さから注目されています。
レーザーの波長毎の特徴
前項で説明したレーザの種類に加え、レーザーの波長によっても特性は大きく異なり、用途に応じた使い分けが求められます。レーザーは基本的に、電磁波の一種で、波長によって異なる性質を持っているため、色や材料への相互作用にも影響を与えます。
赤外線領域のレーザー
まず、赤外線領域のレーザー(例:CO2レーザー)は、波長が10.6µmであり、特に有機材料や金属の加工に適しています。この波長は、皮膚や肉類など生体組織の吸収が高く、医療分野でも多く使われています。赤外線レーザーは熱伝導性の高い材料に対して深く浸透しやすいため、大きな熱エネルギーを供給することで効果的な加工が可能です。
可視光域のレーザー
一方、可視光域のレーザーは、波長が400〜700nmの範囲にあり、主にプラスチックや木材の加工に適しています。特に青色や緑色のレーザー(例:ファイバーレーザー)は、色素の吸収特性が良く、より精密な加工が実現可能です。例えば、青色レーザーはアルミニウムに対しても良好な加工性を示し、その能力を活かした新しい製品の開発が進行中です。
紫外線レーザー
また、紫外線レーザー(例:Excimerレーザー)は、波長が193nmや248nmと非常に短いため、微細加工や導体のパターン形成に特に有効です。これにより、半導体産業での高精度な加工が実現されており、ナノテクノロジー分野でも注目されています。
このように、それぞれの波長帯は独自の特徴を持ち、多様な産業での応用があり、これらの選択肢を理解することが、最適なレーザー加工を行うための重要な要素となります。
レーザ加工のメリット・特徴
レーザ加工は、高精度・高効率な加工を実現する技術で、多くのメリットが存在します。
高い作業効率や、綺麗な加工仕上げはもちろん、複雑な加工も得意としています。
高い作業効率
従来の金属加工では、金型の準備や交換が必要であり、その都度時間がかかるため、生産性が低下する可能性があります。特に、大量生産を行う際は、この金型の手間が大きな障害となります。たとえば、特定の形状やサイズの金属を加工する場合、金型を作成する工程だけでも数週間を要することがあります。
一方、レーザ加工はパソコンで作成したデータを用いるため、金型を必要とせず、プログラムを入力するだけで加工が始まります。これにより、事前準備の時間が大幅に短縮されます。例えば、特定の部品が大量に必要な場合、レーザ加工を用いれば、その特定の設計データを基に迅速に製品が作成できるのです。
さらに、レーザは精密な加工が可能であり、微細な形状の再現も容易です。このため、加工の際に無駄な手間が省けるだけでなく、余計な材料を使わずに済むため、コスト面でも優れたメリットを提供します。また、上質な仕上がりが求められる製品でも、レーザ加工は高い精度で対応できます。
しかし、デメリットとして、厚い金属の加工が難しかったり、反射率の高い素材に対しても対応できない場合があります。それでも、金型を使用した従来の加工方法と比べると、レーザ加工は効率を劇的に向上させる選択肢となります。このように、高い作業効率を実現するレーザ加工は、多くの業界で利用されています。
綺麗な仕上がり
レーザ加工は、その特性から非常に綺麗な仕上がりを実現します。
例えば、金属の切断や穴あけにおいて、従来の加工方法ではバリやカエリと呼ばれる金属の出っ張りが生じやすく、これが後処理の手間を増やす原因となります。特にプレス加工などでは、切断面が粗くなるため、仕上げ作業が欠かせません。
一方、レーザ加工では高精度のビームで材料を切断するため、切断面が滑らかでバリがほとんど発生しません。これにより、後処理をほとんど必要とせず、工程を短縮されます。実際に、レーザ加工を採用している企業では、加工時間やコスト削減の報告も多く上がっています。
さらに、レーザ加工は熱による変形が少なく、金属の性質を保持したまま加工することが可能です。この特徴により、材料の強度や精度が維持され、さらに美しい仕上がりが期待できます。
また、異なる種類の金属に対しても、レーザ加工は柔軟に対応できるため、様々な業界で活用されています。たとえば、電子機器や自動車部品など、高い精度が求められる分野において、綺麗な切断面は品質を左右する重要な要素です。
このように、レーザ加工は金属の切断や穴あけにおいて、従来の方法に比べ優れた仕上がりを提供し、効率的かつ高品質な加工が可能となっています。
複雑な加工が可能
レーザ加工は、他の加工方法では実現できないような複雑な形状やデザインを正確に表現することが可能な加工手法です。
例えば、特定のデザインやパターンを持つ部品を必要とする場合、レーザは高度な精度で切断や彫刻を行うことができます。特に、複雑な曲線や細かなディテールを持つ作品の場合、通常の機械加工では困難な作業も、レーザ加工であれば実現可能です。これにより、特注品やアート作品の制作においても大きな力を発揮します。
また、レーザ加工の一つの特筆すべき特徴として、さまざまな素材に柔軟に対応できる点が挙げられます。アクリルや木材、金属に至るまで、幅広い素材に対応しており、それぞれの素材に適した加工条件を設定することで、効率的かつ高品質な仕上がりを実現します。例えば、金属に対して精密な彫刻加工を行う際には、その素材に特有のデータを用いて加工パラメータを調整する必要があります。このように、レーザ加工は単なる切断や彫刻に止まらず、素材の特性を活かしながら独自のデザインを再現することができるのです。
ただし、一部の素材ではレーザ加工ができない場合もあります。特に反射率の高い金属などは、加工が難しいことがあります。このため、材料選定や加工方法に関する知識が求められます。全体として、レーザ加工は微細な加工精度と革新的なデザインの自由度を兼ね備えており、多くの業界で広く活用されている加工技術です。
高い加工自由度
レーザ加工の最大の特徴の一つは、その高い加工自由度です。レーザ加工は、幅広い素材に対応できるため、金属のような堅い素材から、革や生地などの柔らかい素材まで、様々な種類のものに対して効果的に加工が行えます。このような多様な対応力は、レーザーレンズと照射出力を調整することで実現されます。
例えば、金属製品に対しては高出力のレーザを使用して切断や穴あけを行うことができます。一方で、熱に対して敏感な薄い素材や皮革に対しては、出力を下げることで過剰な熱を避けつつ、精密なマーキングや彫刻も可能です。これにより、デザインの自由度が格段に向上し、さまざまな加工を一貫して行うことができます。
また、レザーカスタマイズの分野では、個別のアイテムに文字や模様を施すことで、オリジナリティを持たせることができます。例えば、歓送迎会や記念日の贈り物として、個々の名前や特別なメッセージを彫刻することで、感動を与えることができます。
さらに、従来の加工方法では、多様な製品を作るために多数の機械や工程が必要でしたが、レーザ加工では一台の機械でさまざまな加工ができるため、製造過程が簡略化され、全体のコスト削減にもつながります。このように、レーザ加工はさまざまな製品に対して高い自由度を持ち、効率的な加工を実現できる点が大きな利点です。
面倒なメンテナンスがない
レーザ加工は、他の加工方法に比べてメンテナンスが非常に簡単であることが大きな利点です。一般的な切削工具や研削装置とは異なり、レーザ加工では材料と工具が直接接触しないため、刃や盤面の消耗が発生しません。このことにより、煩雑なメンテナンス作業が求められず、作業者の負担が軽減されます。
具体的な例を挙げると、伝統的な切削加工では、刃物が材料を切る際に発生する粉塵や切削屑の除去が必要になります。このような付着物の処理は、労力を要するだけでなく、作業効率を著しく低下させる要因となります。一方、レーザ加工ではこのような粉塵がほとんど発生せず、クリーンな環境が保たれるため、作業の流れがスムーズになります。
さらに、レーザ加工機のメンテナンスは、主にミラーやレンズの清掃、アシストエアのフィルタ整備など、比較的簡易な作業で済みます。これにより、交換部品の管理や発注といった煩わしさもありません。例えば、従来の加工設備では、刃物換えやメンテナンスのために生産ラインが停止するケースが多いですが、レーザ加工の場合はそのリスクが大幅に減少します。
このように、レーザ加工はメンテナンスの手間が少なく、効率的な生産を可能にします。そのため、製造業においては生産性向上の重要な要素となっています。
レーザー加工のデメリット
レーザー加工は数多くのメリットを提供しますが、デメリットも存在します。
①厚い素材は加工が難しい
ほとんどの素材を加工できるレーザー加工ですが、厚い素材に対しては特に注意が必要です。
厚い素材を加工する場合、レーザーの光は集中して特定の範囲でのみ最大の威力を発揮します。このため、焦点距離が重要なポイントとなります。例えば、1センチメートル以上の厚さを持つ金属や木材を扱おうとすると、焦点距離から距離が離れるため、レーザーのエネルギーが十分に素材に届かず、加工が難しくなるのです。結果として、切断が困難だったり、切断面の仕上がりが粗くなったりすることがあります。
さらに、厚い素材の場合、単にレーザーの出力を高めるだけでは問題を解決できないこともあります。高出力で処理しようとすると、熱が過剰に発生し、素材が変形したり焦げたりするリスクがあります。特に金属などの導電性素材は、熱伝導が良いため、内部まで熱が広がり、局所的な加工ではなく全体的な影響を及ぼすことがあるため、手間と時間を要する結果になりがちです。
このように、厚い素材の加工は多くの技術的な課題を抱えています。ただし、適切なレーザー機器と加工技術を用いることで、もしかしたら効率的な加工が可能となることもあります。しかし、一般的には厚い素材の加工には向いていないと言えるでしょう。
②反射率の高い素材は加工不可
アルミや銅といった反射率の高い素材は、レーザー光を効果的に吸収できず、その結果としてレーザー加工機を用いた加工が難しくなります。
特に、レーザー加工機の種類によっては、これらの材料が光を弾いてしまい、思うように加工できない場合があります。反射率が高い素材は、レーザー光が表面で反射し、材料内部に十分に浸透しないため、加熱や切断が困難になります。そのため、反射率が高い材料を用いた加工には専門的な技術や機器が必要です。
例えば、アルミニウムの加工を行う際は、特に注意が必要です。この金属は非常に高い反射率を持ち、シンプルなレーザー加工機では加工がうまくいかない場合があります。専用の波長設定や加工条件を調整するほか、コーティングされたレーザーを使用することで反射を抑える試みが行われています。
このように、反射率の高い素材に対しては、異なるアプローチが必要となるため、すべてのレーザー加工機が適用できるわけではなく、適切な機材や技術選定が重要です。反射によって加工ができないと、工程全体に影響が出てしまうため、事前の素材選定や試作段階での検討が求められます。
③コストが上がりやすい
レーザー加工機はその高い精度と柔軟性から人気ですが、一方でコスト面でも注意が必要です。
高性能なレーザー発振器や光学系、制御装置が組み合わさることで、これらの装置はどうしても価格が高くなります。特に、産業用の大型レーザー加工機は数百万円から数千万円することも珍しくありません。この初期投資に加えて、消耗品の購入や維持費も馬鹿にできません。
たとえば、焦点レンズやミラーは使用頻度に応じて定期的に交換する必要があります。これらはレーザーの性能に直接影響を与える重要な部品であり、耐用年数を過ぎると加工精度が落ちるため、早めの交換が求められます。また、交換されるレンズやミラーの価格もそれなりに高額で、数万円から数十万円することもあります。
さらに、レーザー加工に伴う熱の管理もコスト面での課題です。熱管理システムを適切に運用し、加工品質を保つための設備投資や運用コストが発生します。電気代やガス代といった光熱費も無視できず、特に長時間稼働させる場合には大きな出費となることがあります。
このように、レーザー加工機を導入する際には、装置自体の購入価格だけでなく、運用にかかる費用についても十分な計画と見積もりが不可欠です。コストの上昇は企業の利益に直結するため、慎重な検討が求められます。
④加工速度が遅くなりがち
レーザー加工は、その非接触の特性から高精度な加工が可能である一方で、加工速度が遅くなる傾向があります。レーザー光を対象物にピンポイントで照射し、素材を融解させることで切断や加工を行うため、そのプロセスに必要な時間が長くなりがちです。特に、薄い素材に対してはスムーズに作業が進む一方で、厚い素材を加工する際には時間がかかります。
また、レーザー加工機の出力を上げることで切断速度を向上させることは可能ですが、これは一長一短の関係にあると言えます。速度を上げることにより、レーザー光の照射時間が短縮され、結果的に加工時間が短くなる一方、バリやドロスの発生リスクも高まり、仕上がりに影響を及ぼす可能性があります。特に、切削加工と比較するとその傾向が顕著です。プレス加工や切削加工は、一般的には高速度での処理が可能であり、大量生産を行う際にはより効率的となるでしょう。
さらに、レーザー加工は機械的な接触がないため、摩耗や部品の劣化が少ないという利点がありますが、材料の厚さや特性によっては、結果的に加工に要する時間が余計にかかることもあります。市場における要求の変化に応じて迅速な対応が求められる中で、レーザー加工の速度の課題は、今後の技術革新や改善策の模索において重要なテーマとなるでしょう。
レーザー関連製品について
レーザー加工機を構成する基本的なコンポーネントを紹介します。
レーザ測定器
レーザー測定器は、寸法測定や位置決めにおいて、非常に高い精度を誇ります。これにより設計図通りの加工を効率よく行うことができ、品質管理の向上につながります。特に建築業界や土木工事では、その直線性や精度の高さが求められ、レーザー技術は大いに活用されています。
レーザ発振器
レーザ発振器は、高効率で安定したレーザー光を生成する重要な装置です。発振器の設計には、様々な材料や構造が用いられ、その種類によって出力特性や用途が異なります。常に信頼性の高いレーザーを供給することが求められ、精密な制御技術が重要です。
ビームガイド
ビームガイドは、レーザー光を適切に導くための重要な装置です。高品質なビームガイドは、光の伝達効率を向上させ、加工精度を高める役割を果たします。
レンズおよびミラー
レンズはレーザビームを集束させ、加工対象物への焦点を調整することで、効率的なエネルギー伝達を実現するのに用いられます。
一方、ミラーはビームの方向を変えるために使用され、特定の設計において必須の要素となります。このように、レンズおよびミラーはレーザ加工の精度と効率に直接影響を与える重要な部品です。
制御装置
制御装置はレーザ加工機の中核を成し、加工の精密性を担保します。
CNC(コンピュータ数値制御)システムを活用し、加工の過程を自動化することで、効率と一貫性が向上します。
自動化ソフトウェアにより、別の加工条件でも迅速に対応でき、加工速度や位置決めの精度が確保されます。
冷却装置
主にレーザ発振器や加工ヘッドの温度を適切に管理するたには、冷却システムが必要です。冷却が不十分だと、レーザの出力が低下したり、安定性を失ったりする恐れがあります。
主なレーザ加工機
主なレーザ加工機は、さまざまな応用分野で活用されている重要な装置です。
一般的に、レーザ加工機はレーザーの種類に応じて異なる特性を持っています。例えば、CO2レーザーは、波長が10.6μmと長いため、非金属材料の切断や彫刻に優れています。これに対し、ファイバーレーザーは波長が1.07μmと短く、金属加工に最適です。これらのレーザーの違いは、材料に対する熱の浸透深度や加工速度に影響を与えます。
レーザ加工機の仕組みとしては、出力を変換するためにミラーを使用し、レーザー光を正確に材料に導くことが重要です。ミラーの配置や、レーザーの反射率、ビームの幅が加工結果に大きく関与します。特に、精密な加工が求められる場合、これらの要因が加工精度や仕上がりに直結します。
また、レーザ加工においては熱が発生しやすく、材料の焼けや変形のリスクがあります。そのため、高速での加工が可能な機器を選ぶことが、最終的な仕上がりや耐久性に大きな影響を与えます。具体的には、高速な移動ができるXYテーブルや、プログラム制御による自動化が進んでおり、これにより加工速度の向上が図られています。
さまざまなレーザ加工機の中でも、コンパクトで多機能なものが増えており、小規模な製造業者などでも導入が進んでいる状況です。特に、最近のファイバーレーザー加工機は、省エネルギー性や加工精度の高さから多くの支持を集めています。こういった技術革新は、さまざまな業界でのレーザ加工の普及を後押ししています。
SEISHINのレーザ加工装置の特徴
ここまで紹介したように「レーザ加工」には様々な種類や手法があり、目的に応じたレーザ加工機がさまざまなメーカから世に送り出されています。
SEISHINのレーザ加工装置は、特に精密・高精度な加工が求められる半導体や医療分野で活躍するレーザ加工機です。浜松ホトニクス社の特許技術「ステルスダイシング」を搭載しており、これにより透明材料の切断加工が実現可能です。レーザのもう一つのデメリットに、「透明材料の加工」があります。反射率の高い素材の加工が難しいように、ガラスやサファイアといった透明材料の加工も従来は課題となっていました。
SEISHINのレーザ加工機は、先述の「ステルスダイシング」特許技術を利用したレーザ加工を実現しており、これまでは加工困難とされた素材に対しても、加工ができるのが大きな特徴です。
ステルスダイシング技術とは
ステルスダイシング技術は、レーザダイシング加工法のひとつで、サンプルに物理的接触を伴うことなく、切断や分割のきっかけとなる加工を内部に形成する技術です。半導体やMEMS(マイクロ電気機械システム)の製造プロセスにおいて重要な役割を果たす革新的な加工手法とされており、SEISHINのレーザー加工機「ステルスダイシング3G」ではこの技術を利用しています。
詳しくは、以下のページで説明しています。
ステルスダイシング技術のメリット
レーザ加工の次世代技術であるステルスダイシングには様々な優位性を有しています。
非接触加工
・機械的な接触がないため、クリーンな加工が可能です。
・ブレードダイシングのようなダストやバリが発生しにくいのが特長です。
高精度な加工
・レーザで基板内部に切断層を形成するため、極めて高い精度で加工が可能。
・薄いウェハーや微細加工に適した技術です。
高速加工
・一度に切断層を形成できるため、作業時間を短縮できます。
・従来のブレードダイシングと比較して、高速処理が可能な場合があります。
ウェハーの歩留まり向上
・切断部分の熱影響が少なく、周囲へのダメージを最小限に抑えることができます。
・薄い基板やデリケートな素材でも損傷リスクを軽減できます。
複雑な形状への対応
レーザ技術を活用するため、曲線や非対称形状の切断も可能です。
材料の幅広い適用
サファイアやSiCなどの硬い材料や、透明素材、薄膜構造のサンプルにも対応しています。
ブレードダイシングとの違い
ブレードダイシングとは、ダイヤモンドなどの硬い材料でできた薄い回転ブレードを使用し、基板を物理的に切断する方法です。レーザ加工よりも低コストでき、シリコンやセラミックといった加工に用いられます。高精度な加工を担保する一方、ダストやバリが発生するため加工後に洗浄工程が必要となる場合があります。また、加工中のサンプルへの熱影響を防ぐため水での冷却などが必要とされるため、冷却水が基板や部品に触れることを嫌う用途(例:湿気に弱い電子部品)では加工が制限されます。
レーザダイシング(ステルスダイシング)は曲線的な複雑加工もできますが、ブレードダイシングは苦手としています。
SEISHINのレーザ加工装置がおすすめな人
SEISHINのレーザ加工装置は、特に高精度な加工が求められる業界や少量多品種生産を行う企業に適しています。
また、自動化を重視する企業や、工程の効率化を図りたいと考えている場合にも有効です。
さらに、メンテナンスの手間を軽減したい方にとっても、SEISHINの装置は理想的な選択肢となるでしょう。
まとめ
レーザ加工は、近年の技術進歩により様々な材料に対して利用されるようになっています。木材、金属、セラミック、シリコンなど、多岐にわたる素材に対応することが可能です。これにより、個人から企業まで幅広く利用され、特に切断やマーキング、穴あけといった加工が注目されています。
具体的には、木材の加工ではその特有の質感や風合いを活かしながら、精度の高い切断が行えます。金属に対しては、高出力のレーザを使用することで、強固な材料をも簡単に加工することが可能となります。さらに、セラミックやシリコンの加工も進み、複雑なノッチやデザインを施すことができるのが大きな特徴です。
それぞれのレーザ加工には特定のレーザヘッドやレンズの選定が重要で、一つの素材に対しても加工の仕方によって異なる結果を生み出すことがあります。このような違いを理解することで、より目的に合った加工が実現でき、材料の無駄を省くことが可能です。また、後処理が少なく済むメリットもあり、時間効率を考えると非常に有利な選択肢となります。
ただし、レーザ加工には注意点も存在します。例えば、厚い素材に対しては熱の影響で変形するリスクがあるため、適切な条件を見極める必要があります。こうしたデメリットを理解しつつ、さまざまな素材や用途への対応が求められる中で、レーザ加工技術はますます進化していくでしょう。