
- INDEX目次
目次【非表示】
- 1.レーザーマーキングとは何か
- 2.なぜレーザーで刻印(マーキング)ができるのか?
- 3.レーザーマーキング2つの方式
- 3-1.大量生産向き:マスク方式
- 3-2.デザイン自由度高い:スキャン方式
- 4.レーザーマーキングの5つの方法
- 4-1.1.アニーリング(焼きなまし)
- 4-2.2.カーボン化(炭化)
- 4-3.3.アブレーション(剥離)
- 4-4.4.フォーミング(発泡)
- 4-5.5.エングレービング(彫刻)
- 5.レーザーマーキングのメリット
- 5-1.精度の高いマーキングが可能
- 5-2.こすっても消えない!レーザーマーキングの高耐久印字
- 5-3.複数の方式から選べるレーザーマーキング
- 5-4.高速マーキングで生産性アップ
- 6.まとめ:ニーズに応じて最適なレーザーマーキングを選ぼう
レーザーマーキングとは何か
レーザーマーキングとは、レーザー光を使って金属や樹脂などの素材に文字やデザインを刻印する加工技術です。非接触で高精度な印字ができるため、製造業を中心に幅広く活用されています。ステンレスなどの金属はもちろん、プラスチックやフィルムといったさまざまな素材にも対応可能なのが大きな特長です。
レーザーマーキングを行う装置をレーザーマーカーと呼びます。
本記事では、「なぜレーザーで刻印ができるのか?」という基本原理から、代表的なマーキング方式まで、わかりやすく丁寧に解説していきます。
なぜレーザーで刻印(マーキング)ができるのか?
レーザーマーキングは、高エネルギーのレーザー光を素材の表面に当てて、熱や化学反応を引き起こすことで印字を行う技術です。レーザーは一点に集光できるのが特徴で、とても細かく、そして正確なコントロールが可能です。この高精度な光のエネルギーで、素材の色が変わったり、表面が削られたり、凹凸ができたりして、文字やデザインがくっきりと描かれていきます。使うレーザーの種類や出力、照射する時間を変えることで、「焼きなまし」「炭化」「剥離」「発泡」などさまざまなマーキング方式を選ぶことができます。これによって、金属やプラスチックといった幅広い素材に対応でき、こすっても消えない高耐久な印字が実現できるのです。
レーザーマーキング2つの方式
レーザーマーキングの種類には、大きく分けて「マスク方式」と「スキャン方式」があります。
大量生産向き:マスク方式
レーザーマーキングの代表的な方式のひとつが「マスク方式」です。これは、あらかじめ用意したマスク(パターンや文字の型)を使ってレーザーを透過させ、対象物に印字する技術です。同じデザインをまとめて複数の製品に印字できるので、自動車部品や電子部品といった大量生産の現場にピッタリの方法です。
ただし、マスク方式にはいくつか気をつけたいポイントもあります。デザインを変更したいときには新しいマスクを作らなければならず、柔軟性が低いのが課題です。小ロット生産やカスタマイズ対応には向いていませんし、マスクの製作や管理にもコストがかかるため、少量生産ではコストメリットが出にくいのが実情です。
それでも、やはり大量生産の現場ではマスク方式の強みが際立ちます。スピーディーかつ均一に印字できる効率性と安定した品質管理が魅力で、製品の一貫性を保ちながら生産性アップに貢献する技術として、今も多くの現場で活躍しています。
デザイン自由度高い:スキャン方式
スキャン方式(ガルバノ方式)は、レーザー発振器から出るビームを高速で動く「ガルバノミラー(振動ミラー)」に反射させて印字するレーザーマーキング技術です。ミラーの角度を細かくコントロールすることで、まっすぐな線はもちろん、カーブや複雑なロゴ、バーコードのような細かなデザインまで自在に描けます。そのため、製品ごとに違うデザインや個別情報を印字するのにぴったりです。
マスク方式と違い、パターン変更もデジタル制御でサッと切り替えられるので、多品種少量生産やカスタマイズが必要な製造現場で大活躍しています。レーザーマーキングの持つ自由度や柔軟性を最大限に引き出せる、まさに先進的な印字方式です。

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レーザーマーキングの5つの方法
レーザーマーキングにはいろいろな加工方法があり、目的に合わせて選べるのが魅力です。たとえば、金属を非接触で発色させる「アニーリング」、黒くはっきりと発色する「カーボン化」、塗装をきれいに剥がす「アブレーション」、白色でマーキングできる「フォーミング」、そして深く彫り込んで高い耐久性を持たせる「エングレービング」などがあります。それぞれの特徴を活かして、用途にぴったりの加工ができるのがレーザーマーキングの大きな強みです。
1.アニーリング(焼きなまし)
アニーリングは、主にステンレスなどの金属素材に使われるレーザーマーキング方法です。レーザーで素材をピンポイントに加熱し、表面に酸化膜を作ることで黒や青、金色といった美しい干渉色を発色させます。素材を削らないので表面は滑らかなまま、腐食のリスクも少なく抑えられます。この特長から、医療機器や高級時計の部品、食品包装ラインで使われる金属ツールなど、高精度と耐久性が求められる場面にぴったりです。削らない加工だからクリーンな環境にも最適で、「レーザーマーキング 金属 非接触 高耐久性」などのニーズにしっかり応えてくれる技術です。
2.カーボン化(炭化)
カーボン化は、プラスチックや木材といった有機素材にレーザーを当て、素材の成分を熱で分解して炭素を残すことで黒く変色させるレーザーマーキング方法です。表面にしっかりと濃い黒色のマーキングができるので、視認性やコントラスト性が高く、製品ロゴやシリアル番号の印字にぴったりです。さらに、擦っても消えにくい耐摩耗性も大きなポイント。長く使うことを前提とした高付加価値製品や工業部品など、耐久性と高コントラストが求められる現場で「レーザーマーキング プラスチック 炭化 耐久性 高コントラスト」のニーズにしっかり応えています。
3.アブレーション(剥離)
アブレーションは、レーザーを使って塗装やコーティング層をきれいに除去し、下地の素材を露出させるマーキング技術です。塗装された金属部品や樹脂製品はもちろん、多層構造の素材にも対応できるのが特徴です。下地との色のコントラストを活かして、くっきりとしたロゴやバーコード、製品情報などを刻印できます。高精度な除去ができるので、電子部品や家電、車載パーツなど、見た目のデザイン性と視認性の両方が求められる製品で活躍しています。「レーザーマーキング」「剥離」「高精度」「多層素材」「表面加工」といったニーズにしっかり応える技術です。
4.フォーミング(発泡)
フォーミングは、黒色や濃色のプラスチック素材によく使われるレーザーマーキング方式です。レーザーを当てて熱分解させることで素材内部に細かい気泡をつくり、表面を白く変化させる技術です。白文字でしっかりコントラストが出るので視認性が高く、製品ロゴやボタンの表記、装飾デザインなどにぴったりです。素材を削らずに印字できるため、製品の強度や見た目をそのまま保てるのも大きなメリット。家電や医療機器、産業機器の筐体など、幅広いシーンで活躍しており、「レーザーマーキング プラスチック 白文字 高視認性 非接触」などを重視する場面で選ばれている技術です。
5.エングレービング(彫刻)
エングレービングは、レーザーで素材そのものを直接削り、深く彫り込むことでマーキングを行う方法です。金属、樹脂、木材、ガラスなど幅広い素材に使える汎用性の高さが魅力で、彫る深さによって視認性や耐久性がぐっと高まります。深く刻まれたマーキングは、高温になったり摩耗したりする過酷な環境でも消えにくく、長く使い続けられるのが特長です。産業用部品や工具、金型、アウトドア用品、銘板など、厳しい条件でも確実な表示が必要な場面で大活躍。「レーザーマーキング 彫刻 金属 耐久 深彫り 高精細」といったニーズにしっかり応える技術です。
レーザーマーキングのメリット
レーザーマーキングは、製品へのラベルや刻印を施す際に特に多くのメリットを持っています。
精度の高いマーキングが可能
繰り返しになりますが、レーザーマーキングは、複雑なデザインや微細な文字も高い精度で刻める加工技術です。レーザー光を細かくコントロールできるため、これまでの印字方法では難しかった細かな表現もきれいに仕上がります。さらに、マスク方式やスキャン方式を使い分けることで、対象物の形状や素材に合わせたベストなマーキングができるのも魅力です。
その結果、視認性の高いくっきりとした仕上がりや、摩耗に強く長持ちする印字が実現し、製品の信頼性アップにもつながります。こうした特徴から、レーザーマーキングは精密機器や医療機器、自動車部品など、さまざまな産業の現場で欠かせない技術として活躍しています。
こすっても消えない!レーザーマーキングの高耐久印字
レーザーマーキングは、こすっても消えない耐久性の高い印字ができる先進的な加工技術です。レーザー光で素材の表面を直接変化させるので、インクのように剥がれる心配がなく、摩耗にもとても強いのが特長です。特にラベル作成や製品番号の刻印など、長くはっきりと読めることが求められる場面でその力を発揮します。プラスチックや金属、樹脂など幅広い素材に対応できるため、印字が消えにくく劣化しにくいラベルが必要とされる業界で幅広く活用されています。耐久性と信頼性をあわせ持つ印字技術として、製品の品質向上にもしっかりと貢献しています。
複数の方式から選べるレーザーマーキング
レーザーマーキングには、用途や生産条件に合わせて選べるいくつかの方式があり、中でも代表的なのが「マスク方式」と「スキャン方式」です。マスク方式は、あらかじめ用意したマスクを通してレーザーを照射する方法で、同じデザインをスピーディーに大量印字できるため、量産向けの製造ラインにぴったりです。一方、スキャン方式はガルバノミラーを使ってレーザーを動かしながら描画する方法で、さまざまな素材や複雑なデザインにも柔軟に対応できます。こうした複数のマーキング方式があることで、製品仕様やニーズに応じた最適な印字が実現できるのが、大きなポイントです。
高速マーキングで生産性アップ
レーザーマーキングの高速化は、高出力レーザーを使うことで実現されています。これによってマーキングの効率がぐんと上がり、短時間でたくさんの製品に印字することが可能になります。さらに、ガルバノスキャナーを使ったスキャン方式を組み合わせることで、複雑なデザインでもスピーディーにマーキングできるのが特長です。レーザーマーキングの高速化は、生産性アップや納期短縮を目指す製造業にとって、心強い支援技術となっています。
まとめ:ニーズに応じて最適なレーザーマーキングを選ぼう
レーザーマーキングは、高精度・高耐久・高速対応を兼ね備えた優れた印字技術です。金属や樹脂など、さまざまな素材に対応できるのも大きな魅力です。加工方式もいくつかあり、マスク方式は大量生産向き、スキャン方式は柔軟性が高いなど、それぞれに特長があります。
さらに、こすっても消えない耐久性の高い印字ができるだけでなく、生産ラインの効率アップにつながる高速マーキングも可能です。
製品や生産体制に合わせて最適な方式を選ぶことで、品質・コスト・スピードのバランスをしっかり取れるのがレーザーマーキングの強み。導入を検討する際には、素材や目的にぴったり合った方式を選ぶことがポイントです。

西進商事 コラム編集部
西進商事コラム編集部では、専門商社でありながら自社で精密装置の開発・製造も手がけるメーカーとしての立場から、レーザー加工や精密機器に関する幅広い情報を発信しています。