技能試験とは何ですか? ISO/IEC 17043(JIS Q 17043)
技能試験に関することを随時UPしていきます!下記内容以外にもご質問等ありましたら、お問い合わせフォームにてお気軽におたずねください。
Q&A(お客様からのよくある質問と回答)
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1.技能試験って、どんな試験をいうのですか?
JIS Q 17043(ISO/IEC 17043)が定める技能試験は、試験機関(試験所)が日常、実施している試験方法について「実施能力の評価」をする試験をいい、通常、「ISO/IEC 17043 に基づく技能試験」 などとよばれています。自分たちの試験所の試験実施能力を他の試験所と比較することができます。
国家検定制度などで技能士の称号を取得する技能検定とか、学協会主催の個人を対象にした技術者のための技能試験とは異なり、試験所を対象にしたものです。 -
2.技能試験はどういう目的で受ける試験ですか?
自分たちの試験所が実施しているいろいろな試験方法について、他の試験所の試験実施能力と比較・評価する外部精度管理として参加することが多いです。
また、ISO/IEC 17025(JIS Q 17025)の試験所認定を取得している試験所は、第三者機関による試験実施能力の評価を求められますが、その一つとして参加しています。
なお、外部精度管理以外に、技術者の教育・訓練などに用いるのは参加者の自由です。技能試験に参加して外部と比較することにより、自身の試験結果が偏りやばらつきをもっていることに気がつくこともあり、試験結果の精度向上や品質管理に役立ちます。 -
3.技能試験を受けるとどのようなメリットがあるのですか?
- 自分たちの試験所の試験実施能力が他の試験所と比べてどのくらいの水準にあるのかを確認できる。
- 技能試験に参加して他の試験所の結果と比較することにより、自身の試験結果に一定の偏りやばらつきの差があることなどが分かり改善を図ることができる。
- 試験所内の技術者の資格試験、技能訓練、能力評価の一つに活用できる。
- 試験実施作業における品質管理や試験技術の改善などに役立つ。試験所等の信頼性を確保する手段の一つとして参加が推奨されている。
- ISO/IEC 17025認定試験所では、認定維持のための第三者機関による能力評価の一つに活用できる。あるいは、認定取得のための能力評価に活用できる。
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4.技能試験にはどんな試験の種類があるのですか?
化学試験、機械試験、電気試験など各種の技能試験が実施されています。ここでは化学試験の一例を「質問No.17」で紹介します。
このような技能試験スキームは行われているかなど具体的な点については、西進商事までお問い合わせください。 -
5.技能試験はどのようなプロセス(手順)で実施されるのですか?
一般に技能試験は次のようなプロセスで実施されます。
① 技能試験提供者による参加者の募集 →
② 参加者による申込手続き →
③ 参加費の納付 →
④ 技能試験試料の配付 →
⑤ 参加者による試験の実施 →
⑥ 試験結果の報告 →
⑦ 試験結果の回収 →
⑧ 統計処理 →
⑨ 技能試験報告書の作成 →
⑩ 技能試験報告書の配付 -
6.参加申し込みをするにはどうしたらよいのですか?
技能試験は、ISO/IEC 17043(JIS Q 17043)の認定を取得した技能試験提供者とよばれる組織が主催しています。これらの組織がインターネットなどで参加者募集をしていますので参加申し込み手続きをすることになります。多くの技能試験は海外の技能試験提供者が主催していますが、各種の技能試験の募集状況や参加申し込みの案内は西進商事で行っておりますのでお問い合わせください。
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7.海外主催の技能試験の参加手続きなどを代行してもらうことはできるのですか?
西進商事では海外主催の技能試験について、① 技能試験の参加申込手続き、② 技能試験試料の配付(通関手続きを含む)、③ 参加費の納付手続きの代行などの業務を実施しております。詳細は西進商事までお問い合わせください。
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8.技能試験についてはJISで定められているそうですが、技能試験に関係する公的規格はあるのですか?
技能試験については、下記の公的規格に定められています。下記の規格は、技能試験の提供者に対して、技能試験実施における品質管理上の要求事項及び技術的な面に対する要求事項を詳細に規定しています。認定された技能試験提供者は、これらの要求事項の順守状況について認定機関から定期的な審査を受けています。
(1)JIS Q 17043 適合性評価―技能試験に対する一般要求事項 (ISO/IEC 17043 の翻訳規格)
(2)ISO/IEC 17043 Conformity assessment ー General requirements for proficiency testing) -
9.「技能試験スキーム」、「技能試験提供者」など、技能試験に関係する基礎的な用語について知りたい。
よく使われる技能試験に関係する用語には次のようなものがあります(JIS Q 17043 等より引用)。
- 技能試験(proficiency testing / PT): 試験所間比較による、事前に決めた基準に照らしての参加者のパフォーマンスの評価。
- 試験所間比較(interlaboratory comparison): 事前に定めた条件に従って、二つ以上の試験所が、同一品目又は類似品目で行う、測定又は試験の企画、実施及び評価。
- 技能試験品目(proficiency test item): 技能試験に用いるサンプル、製品、加工品、標準物質など。
- 技能試験参加者(participant): 技能試験品目を受け取り、技能試験提供者による評価のために試験結果を提出する試験所、組織または個人。
- 技能試験提供者(proficiency testing provider) : 技能試験スキームの開発及び運用に関するすべての業務に責任を負う組織。
- 技能試験スキーム(proficiency test scheme): 指定された試験、測定、校正又は検査の領域で 1 ラウンド以上行うように設計され、運用される技能試験。
- 技能試験ラウンド(proficiency test round): 技能試験品目の一連の配付の完了、並びに結果の評価及び参加者への報告。
- 請負業者(subcontractor): 技能試験スキームの品質に影響し、JIS Q 17043
規格に規定する活動を実施するために技能試験提供者と契約する組織又は個人。
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10.技能試験における統計処理に関係する基礎的な用語について知りたい。
よく使われる技能試験に関係する用語には次のようなものがあります(JIS Q 17043 等より引用)。
(1)ロバスト統計手法(robust statistical method): 基本となる確率モデル周辺の基本的仮定からの軽微な逸脱に影響されない統計手法。
(2)付与値(assigned value): 技能試験品目の特定の特性に起因する値。多くの技能試験では参加者試験結果の平均値や中央値を付与値として用いている。
(3)外れ値(outlier)
一連のデータの中で、その他のデータと整合しない値。例えば、ロバストzスコア値が 6 以上、報告値の単位の誤り、小数点の打ち間違い、他の技能試験スキームの結果と思われるような明らかな間違いなど及び報告期限内に報告されなかったデータは、データの集合から取り除き外れ値とする。
(4)ユーデンプロット(Youden plot)
各試験所から報告された第一試料の平均値と第二試料の平均値の散布図において、従来法の統計値を使って 95%確率の楕円を描いたもの。計算方式は JIS Z 8405 による。
(5)メディアン(ロバスト法)
全体の値の中央値。全体数が偶数の場合はふたつの中央値の平均値。
(6)NIQR(ロバスト法)
Normalized interquartile range の略で、IQR×0.7413。
但し、IQR(Interquartile range)=上四分位数と下四分位数の差(四分位範囲) -
11.技能試験結果の統計処理にロバスト法が用いられているようですがどのような方法なのですか?
一般的な統計計算において、Cochran’& Grubbs 法や Dixon 法など異常値を除外せずにメディアンや NIQR を求める手法をいう。試験所全体値を昇順に並べ替え、中央の約 50%の試験所の値をもとに、平均値に相当するメディアン及び標準偏差に相当する NIQR を推定する方法をいいます。
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12.技能試験における試験結果の評価はどのようになされているのですか?
試験所間比較を行い、参加した複数の試験所の試験結果及びその統計量などから、事前に定めた評価基準により、参加試験所の試験の成績を判定しています。評価方法は技能試験の参加募集案内などで事前に知ることができます。
技能試験報告書には通常、統計処理結果として、全体の平均値及びばらつき(標準偏差)など及び参加試験所のzスコア値、zスコアのバーチャート、ユーデンプロットなどに参加試験所の全体にしめる位置が表示されます。 -
13.技能試験結果を示すときに使われる 「 z スコア」とは何ですか?
通常の統計処理では 「 z スコア」は、「各試験所の値 - 試験所全体の平均値の差 / 標準偏差」によって求められます。
ロバスト法における z スコアは、「各試験所の値 - 中央値(メディアン)」/ NIQR」によって求められます。
ここで、NIQR(Normalized interquartile range)は、IQR×0.7413 を示します。
但し、IQR(Interquartile range)= 上四分位数と下四分位数の差(四分位範囲)。 -
14.z スコアの数値がいくつならば合格なのですか?
技能試験では合否判定をする試験ではなく、他所との比較により自分たちの試験所の位置を確認するための試験であるといえます。一般に下記のような基準によって、不満足な結果を報告した試験所には判定欄にマークを付けて分かるようにしています。
「不満足」あるいは「疑わしい」結果となった試験所は問題点を探し出す検討をし、是正処置を図る作業を実施しています。
判定基準:
(1) |z|≦2 :満足、
(2) 2<|z|<3 : (判定が)疑わしい(どちらともいえない)、
(3) |z|≧3 :不満足 -
15.技能試験を受けた場合、試験方法は指定されるのですか?
指定される場合と指定されない場合とがあります。例えば、RoHS対応の技能試験で、酸分解―ICP法と蛍光X線分析法を方法別に分けて統計処理する場合は試験方法が指定されます。
一般には方法を指定する場合は少なく、両者の分析結果をまとめて統計解析する場合が多いです。例えば、樹脂中のCd やPb成分のRoHS対応技能試験では、分析方法別というよりは各成分が分析方法に関わらずにどの程度の精確さで分析できるのかを見るためのです。 -
16.技能試験結果はどういう方法で報告するのですか?
インターネット上に試験結果報告書がアップされ、それに所定事項を記入してメール添付で主催者へ送信する場合が多いです。
試験結果も同様に主催者から配信されてきます。 -
17.当社取り扱い PT提供者の代表例
(1)英国 / LGC Standards (認定機関:UKAS)
安全分野
対象 : 玩具テスト、化粧品、Ni アレルギー、製薬
例: フタール酸エステル類/玩具溶出試験
食品分野 飼料、チョコレート、酪農化学
環境分野 作業環境、水、農業
飲料分野 醸造、アルコール、モルト、ソフトドリンク、ジュース
臨床分野
科学捜査(2)米国 / CTS
材料分析の例
対象 : 鉄鋼、銅、ニッケル、アルミニウム
例: 鉄鋼中微量元素、C、S分析(3)中国 / NIL
材料分析の例
対象 : 鉄鋼、銅、ニッケル、アルミニウム、フェロアロイ
例: 鉄鋼中微量元素、C、S、O、N、H分析(4)フランス / EXOVA
材料分析の例
対象 : ステンレス、ニッケル、アルミニウム
例: ステンレス中微量元素、C、S、O、N分析