- INDEX目次
目次【非表示】
- 1.パワーリレーが動作する仕組みをわかりやすく解説
- 1-1.小さな電流で電磁石を動かし接点を開閉させる
- 1-2.コイル・鉄心・接点などの主要な部品で構成される
- 2.パワーリレーと通常のリレー(一般リレー)の主な違い
- 2-1.制御できる電流や電圧の大きさが異なる
- 2-2.接点間の距離や絶縁性能に差がある
- 2-3.サイズや耐久性が用途に合わせて設計されている
- 3.パワーリレーの代表的な種類を紹介
- 3-1.高容量の電流に対応する「パワーリレーS」
- 3-2.プリント基板に実装するPCBパワーリレー
- 3-3.車載用途に特化した車載用パワーリレー
- 4.用途に合ったパワーリレーを選ぶための3つのポイント
- 4-1.制御したい負荷の定格電圧・電流を確認する
- 4-2.接点構成(a接点・b接点など)を仕様に合わせて選ぶ
- 4-3.取り付け方法や使用環境を考慮する
- 5.パワーリレーが活用される主な用途例
- 5-1.自動車のスターターや電動ファンモーターの制御
- 5-2.エアコンやヒーターなど家電製品の電源回路
- 5-3.産業機械やFA機器のモーター駆動
- 6.まとめ
- 7.用語まとめ
パワーリレーとは、高電圧や大電流(通常10アンペア以上、数百ボルトまで)を安全に制御するための電気的なスイッチの一種です。低電力で大きな負荷を操作できる点は通常のリレーと共通していますが、パワーリレーはとくに高電圧や高電流に対応可能な点で優れています。産業用機器や自動車、電力設備など、電気的な安全性が重視される場所で広く使用されています。
パワーリレーは、電磁石の力を利用して電気回路の開閉を自動的に行うデバイスです。低電力の制御回路からコイルに電流が流れると、コイルが磁力を発生させ、その力で可動接点を動かし、主回路をオンまたはオフに切り替える仕組みです。
パワーリレーが動作する仕組みをわかりやすく解説
パワーリレーは、電磁石の原理を利用してスイッチをオンオフする部品です。電磁石は、コイルに電流が流れると磁力を発生させる構造で、この磁力によって可動鉄心が引き寄せられ、接点が開閉することで電気回路が切り替わります。パワーリレーは、コイルに流れる小さな制御電流で大きな負荷電流を制御できるため、安全性と効率性の両方を確保しながら機器の動作を可能にします。
小さな電流で電磁石を動かし接点を開閉させる
パワーリレーは、電磁石の原理を利用して回路の開閉を行うスイッチです。その基本的な仕組みは、まず制御回路から流れる小さな電流がパワーリレー内部のコイルに供給されることで始まります。コイルに電流が流れると、電磁誘導によって磁力が発生し、コイルが電磁石となります。この電磁石の磁力によって、リレー内部の可動鉄片が引き寄せられ、可動接点と固定接点が接触します。これにより、主回路が閉じられ、大電流が負荷へと供給されるのです。
逆に、コイルへの電流が遮断されると、電磁石の磁力が消滅し、バネの力で可動接点が元の位置に戻ります。これにより主回路が開き、電流が遮断されます。この一連の動作によって、パワーリレーは小さな制御電流で大きな電流が流れる回路を安全に制御することが可能となります。
特に大電流を扱うパワーリレーでは、アーク放電による接点の劣化や破損を防ぐため、耐アーク性の高い接点材料や設計が採用されています。
コイル・鉄心・接点などの主要な部品で構成される
パワーリレーは、主にコイル、鉄心、可動接点、固定接点の4つの主要部品で構成されています。コイルは、制御電流が流れることで磁界を発生させる役割を担っており、これがパワーリレーの動作の起点となります。発生した磁界は鉄心に伝わり、鉄心は磁化されることで可動接点を引き寄せます。可動接点と固定接点は、通常は離れた状態(ノーマルオープン)か、あるいは接触した状態(ノーマルクローズ)で配置されており、この接点の開閉によって主回路の電流をオン・オフします。特に、接点の材質は、大電流を安定して開閉するために、高い導電性と耐熱性を持つ銀合金などがよく用いられます。接点が開閉する際には、アーク放電が発生することがあり、これを抑制するために消弧装置が組み込まれている製品もあります。また、接点の表面状態や接触圧によって「接触抵抗」が変化し、これが電力損失や発熱、寿命に影響を与えるため、適切な設計と選定が重要です。
パワーリレーと通常のリレー(一般リレー)の主な違い
パワーリレーと通常のリレー(一般リレー)の主な違いは、制御できる電流や電圧の大きさにあります。
制御できる電流や電圧の大きさが異なる
パワーリレーと通常のリレーの主な違いの一つは、制御できる電流や電圧の大きさです。パワーリレーは、通常のリレーよりも高い電圧や大電流(一般的に10アンペア以上、数百ボルトまで)を安全に制御できるように設計されています。例えば、ヒーター、モーター、照明アレイ、その他の産業機器など、大電流を必要とするデバイスの電気負荷に対応可能です。
これは、パワーリレーのスイッチ接点に、通常のリレーとは異なる特別な素材が使用されていることによって実現されています。これらの素材は、高い電流や電圧に耐える能力があるため、要求の厳しい環境での信頼性の高い動作と長寿命を保証します。
パワーリレーは、AC(交流)とDC(直流)のどちらの電流も制御できます。例えば、電気自動車(EV)やハイブリッド車では高電圧バッテリーの管理にDCパワーリレーが不可欠であり、エアコンやヒーターなどの家電製品ではACパワーリレーが電源回路の制御に用いられています。直流電流はアーク放電(電気火花)を発生させやすいため、DCパワーリレーには特に耐アーク性の高い接点材料や設計が採用されており、高耐久性を実現しています。
接点間の距離や絶縁性能に差がある
パワーリレーと通常のリレーでは、対応する電流や電圧の大きさの違いから、接点間の距離や絶縁性能にも差が見られます。パワーリレーは、通常のリレーに比べて高電圧・大電流を扱うため、接点間で絶縁破壊が起こらないよう、より広い「空間距離」と「沿面距離」を確保するように設計されています。
空間距離とは、2つの導電性部分間の空間を通る最短距離を指し、沿面距離とは、絶縁物の表面に沿った最短距離を指します。これらの距離は、必要な絶縁強度、動作電圧、想定される過電圧の程度、汚染度など、複数の要因によって決まります。たとえば、オムロンのパワーリレーFTR-F3は、コイルと接点間の絶縁距離が6mm以上、耐電圧がAC4kV、耐サージが10kVと高絶縁設計が施されています。
パワーリレーは高電圧・大電流を扱うことで、接点間でのアーク放電や過熱による絶縁劣化のリスクが高まります。そのため、接点間の距離を適切に設定し、絶縁材料の選定や配置を最適化することで、高い絶縁性能を維持しているのです。これにより、回路間の絶縁不良やリレー自体の焼損を防ぎ、システムの安全性と信頼性を確保しています。高電圧環境での使用を想定しているため、接触抵抗の安定性も重要な要素となります。
サイズや耐久性が用途に合わせて設計されている
パワーリレーは、制御する電流や用途によってそのサイズや耐久性が大きく異なります。例えば、高い電圧や電流を扱う産業機械向けのリレーは、物理的に大きく、堅牢な構造が特徴です。これは、大電流による発熱やアーク放電といった現象に耐える必要があるため、接点間の距離が広く設計され、絶縁性能も高められています。一方、自動車の電装品や家電製品に使われるパワーリレーは、スペースの制約があるため小型化が求められ、特に車載用では高温や振動といった過酷な環境下での動作が保証されるよう、高い耐環境性能が重視されます。これらの設計思想の違いは、パワーリレーの寿命や故障率に直接影響します。例えば、スイッチング回数が多い用途では、接点の摩耗を抑えるための特殊な接点材料が使われたり、耐久性の高い機構が採用されたりするのです。適切なパワーリレーを選ぶことは、システムの信頼性や安全性を確保する上で非常に重要であり、用途に応じた最適な設計が不可欠といえます。
パワーリレーの代表的な種類を紹介
パワーリレーには、主に2つの種類があります。1つは、電磁石の力で接点を開閉する電気機械式リレーです。もう1つは、半導体素子を用いて電気回路を制御するソリッドステートリレー(SSR)です。
SSRは、物理的な可動接点がないため、高速で頻繁なスイッチングが可能で、長寿命という特徴があります。 電磁石式リレーは、DCパワーリレーとACパワーリレーに分けられ、それぞれ直流と交流の電力供給に適しています。
高容量の電流に対応する「パワーリレーS」
「パワーリレーS」は、高容量の電流制御に特化したパワーリレーの一種です。例えば、オムロンのG2R-Sシリーズは、1極で10A、2極で5Aの定格通電電流に対応し、AC250V 10AやDC30V 10Aといった高容量の抵抗負荷を開閉できます。コイルと接点の間には5000V、耐サージ電圧は10000Vという高い絶縁性能と耐サージ電圧を持ち、安全性に配慮した設計が特徴です。
このタイプのパワーリレーは、自動車のスターターや電動ファンモーター、エアコンやヒーターなどの家電製品の電源回路、産業機械やFA機器のモーター駆動など、多様な高電力アプリケーションで活用されています。 また、パワーリレーSには、電流を流し続けることで状態を保持するラッチング機能を持つラッチリレーも存在します。ラッチリレーは、一度コイルを励磁すると、その状態を保持し続けるため、記憶回路や情報伝達回路に適しています。 このラッチ機能により、コイルへの連続的な電力供給が不要となり、省エネルギー化にも貢献します。
プリント基板に実装するPCBパワーリレー
プリント基板(PCB)に直接実装されるパワーリレーは、特に小型化や省スペース化が求められる電子機器で不可欠な部品です。これらのリレーは、3A以上の高容量の負荷開閉に利用され、民生用電子機器から産業機器まで幅広い分野で活用されています。例えば、エアコンやヒーターなどの家電製品の電源回路、産業機械やFA機器のモーター駆動などでの使用が挙げられます。
PCBパワーリレーの大きなメリットは、プリント基板に直接はんだ付けで実装できるため、配線スペースを削減し、機器全体の小型化や配線の簡素化に貢献する点です。これにより、限られた設置スペースを有効活用できます。また、オムロン製の「G9KB」のようなPCB用直流パワーリレーは、通電電流の制御設計や双方向アーク遮断技術により、直流600V/50Aの高容量を実現し、通電時の低消費電力にも貢献しています。
実装方法としては、基板に開けられた穴に部品のリード線を差し込んで半田付けするスルーホールマウント(THT)と、基板表面に部品を直接はんだ付けする表面実装技術(SMT)が主な方法です。PCBリレーはガルバニック絶縁機能を備えており、電気回路やアセンブリを絶縁することで、低電圧と高電圧の電流供給を切り替えることが可能です。これにより、回路基板の接続部と電流の流れを分離し、感電や損傷のリスクを軽減し、安全性を高める役割も担っています。
車載用途に特化した車載用パワーリレー
自動車の分野で不可欠な部品として挙げられるのが、車載用パワーリレーです。通常のパワーリレーと比較して、その堅牢性と信頼性は非常に高く、自動車特有の厳しい環境下でも安定した性能を発揮するように設計されています。具体的には、温度変化が激しい環境や、振動、衝撃に常にさらされる状況下でも、高い耐久性を維持しています。例えば、エンジンルーム内の高温環境や、未舗装路走行時の激しい振動など、さまざまな外部ストレスから回路を保護する役割を担っています。
車載用パワーリレーの主な機能は、自動車の電気系統における高電流回路を安全に制御することです。例えば、ヘッドライトやフォグランプの点灯・消灯、ワイパーの動作、ドアロックの開閉、さらにはパワーウィンドウの昇降など、日常的に使用する多くの電装部品の動作に関わっています。特に、エンジンの始動に必要なスターターモーターや、冷却ファン、燃料ポンプといった大電流を必要とする部品の制御には、車載用パワーリレーが不可欠です。これらの部品は、一度に大きな電流が流れるため、通常のスイッチでは対応しきれない場合が多く、パワーリレーが安全かつ確実に電流のON/OFFを切り替えることで、システム全体の安定稼働を支えています。
このように、車載用パワーリレーは、自動車の安全性、快適性、利便性を向上させる上で非常に重要な役割を果たしており、今日の自動車に求められる高度な電子制御システムの実現に貢献しているのです。
用途に合ったパワーリレーを選ぶための3つのポイント
パワーリレーを選ぶ際は、用途に適した製品を選択することが重要です。適切なパワーリレーを選ぶためのポイントは3つあります。
制御したい負荷の定格電圧・電流を確認する
パワーリレーを選定する際、最も基本的な要素となるのが、制御したい負荷の定格電圧と定格電流の確認です。リレーには「コイル部の仕様定格」と「接点部の負荷定格」があり、それぞれ適切な数値を選ぶ必要があります。もし、コイル部の仕様定定格が適切でない場合、コイルの焼損や本来の性能が発揮できない原因となる可能性があります。例えば、直流動作型リレーの電源は、電圧基準と電流基準のどちらかとなりますので、カタログなどで定められた定格電圧や定格電流を確認することが大切です。
特に、モーターやランプなどの負荷を制御する場合、電源投入時に「突入電流」と呼ばれる一時的に大きな電流が流れることがあります。この突入電流は、定常電流の5〜10倍、場合によっては10〜15倍にも達することがあり、リレーの接点に溶着や損傷を引き起こす主要な原因となります。そのため、パワーリレーを選定する際には、定格電流だけでなく、この突入電流の値も考慮し、リレーの最大投入電流以下であることを確認する必要があります。また、リレーの定格は抵抗負荷を基準に表示されていることが多いため、誘導負荷など突入電流が大きい負荷を扱う場合は、余裕を持った選定が不可欠です。
接点構成(a接点・b接点など)を仕様に合わせて選ぶ
パワーリレーを選ぶ際は、用途に応じた接点構成を選ぶことが重要です。リレーの接点は、主にa接点(ノーマルオープン)、b接点(ノーマルクローズ)、c接点(トランスファー接点)の3種類があります。a接点は、コイルに電流が流れていないときに接点が開いており、電流が流れると閉じます。つまり、通常はオフで、動作時にオンになるタイプです。一方、b接点は、コイルに電流が流れていないときに接点が閉じており、電流が流れると開きます。これは、通常はオンで、動作時にオフになるタイプです。c接点は、a接点とb接点の両方を持ち合わせており、コイルに電流が流れていないときはb接点と接続し、電流が流れるとa接点と接続します。これにより、1つのリレーで2つの回路を切り替えることが可能です。
また、これらの接点構成の組み合わせによって、多様なリレーが存在します。例えば、3極リレーのように複数の接点を持つ製品もあります。3極リレーは、複数の回路を同時に制御する場合や、複雑なシーケンス制御が必要な場合に利用されます。どの接点構成が適切かは、制御したい機器の動作や安全要件によって異なりますので、製品の仕様書をよく確認し、最適な接点構成のパワーリレーを選択してください。
取り付け方法や使用環境を考慮する
パワーリレーを選定する際には、設置環境や耐久性への考慮が不可欠です。例えば、振動や衝撃が多い場所での使用では、堅牢な構造を持つパワーリレーを選ぶ必要があります。また、高温多湿な環境下では、耐熱性や防湿性に優れた製品が求められます。特に、外部からのサージ電圧やノイズの影響を受けやすい環境では、誤動作を防ぐためにサージ保護機能やノイズ抑制機能を備えたパワーリレーを選ぶことが重要です。これにより、機器の安定稼働と長寿命化を図ることができます。さらに、パワーリレーの取り付け方法も重要な検討事項です。DINレール取り付け型や基板実装型、ねじ止め型など、設置スペースやメンテナンス性を考慮して最適な取り付け方法を選びましょう。これにより、配線作業の効率化やトラブル発生時の交換作業がスムーズに行えます。これらの要素を総合的に判断し、用途に最適なパワーリレーを選ぶことで、システムの信頼性を高めることが可能です。
パワーリレーが活用される主な用途例
パワーリレーは、自動車や電気自動車、太陽光発電システムなどの高電圧・大電流制御に使われる重要な部品です。
家庭ではエアコンや冷蔵庫などの電源回路、産業分野ではエレベーターやモーター制御、FA機器などにも利用されています。
さらに、OA機器のランプ制御や包装・食品加工機器の電源制御など、幅広い分野で活用されています。
自動車のスターターや電動ファンモーターの制御
自動車分野において、パワーリレーは安全性と効率性を確保する上で不可欠な役割を担っています。特に、エンジンの始動時に大電流を必要とするスターターモーターの制御や、エンジンの冷却を担う電動ファンモーターのON/OFF制御に広く利用されています。例えば、スターターモーターは短時間で数百アンペアもの大電流が流れるため、通常のスイッチでは対応できません。パワーリレーを介することで、運転席からの小さな電流で、安全かつ確実にスターターモーターを動作させることが可能になります。また、電動ファンモーターも冷却水の温度に応じて自動的に動作を制御する必要があり、パワーリレーがその信頼性の高い切り替えを実現しています。これにより、バッテリーへの負担を軽減し、車両の電装系全体の寿命延長にも貢献しています。さらに、近年増加しているEV(電気自動車)やHV(ハイブリッド車)では、より高電圧・大電流のモーターを制御する必要があるため、車載用パワーリレーはさらに高性能化・高信頼性化が進んでいます。
エアコンやヒーターなど家電製品の電源回路
エアコンやヒーター、電子レンジといった一般家庭で使われる多くの家電製品には、パワーリレーが搭載されています。これらの家電製品は、家庭用電源から供給される交流の大電流を使用するため、安全かつ効率的に電源をオン・オフする必要があります。パワーリレーは、この大電流を小さな制御信号でスイッチングする役割を担っており、例えばエアコンのコンプレッサーやヒーターの電熱線など、消費電力の大きい部品の電源回路で特にその重要性が際立ちます。具体的な例として、電子レンジのマイクロ波発生器やオーブントースターのヒーターなど、高出力を必要とする部分で、パワーリレーが過負荷を防ぎながら安定した動作を支えています。これにより、ユーザーは安心して家電製品を利用できるだけでなく、製品自体の長寿命化にも貢献しています。
産業機械やFA機器のモーター駆動
産業機械やFA機器のモーター駆動において、パワーリレーは欠かせない役割を担っています。たとえば、工場の自動化システムでは、複数の機器が連携して連続的に動作する必要があり、パワーリレーが各機器への電力供給を制御することで、効率的かつ安全な運用を実現します。また、過電流や短絡といった予期せぬトラブルから機器を保護し、故障を防ぐ用途でも重要な役割を果たします。高負荷の環境下で長時間稼働する産業機械にとって、パワーリレーは信頼性の高い電力管理を可能にし、安定した生産活動を支える基盤となります。
パワーリレーは、小さなスイッチで大きな電力を制御できる「増幅機能」や、異なる電圧の回路間をつなぐ「インタフェース機能」も持ち合わせており、FA機器の複雑な自動制御を可能にしています。例えば、ロボットアームの精密な動きや、コンベアシステムの動力制御など、モーターを使用する様々な産業用途で、パワーリレーは正確な電力供給と遮断を担っています。このように、パワーリレーは産業機械やFA機器の性能を最大限に引き出し、現代の生産現場を支える重要なコンポーネントと言えるでしょう。
まとめ
パワーリレーは、小さな電流で大きな電流を安全に制御できる電磁スイッチです。家電製品や自動車、産業機械など、幅広い用途で活用されています。
パワーリレーを選ぶ際は、制御したい負荷の電圧や電流、接点構成、取り付け方法や使用環境などを考慮することが重要です。
本記事が、皆様のパワーリレー選定の一助となれば幸いです。
用語まとめ
パワーリレー:
高電圧・大電流を安全に制御するための電磁スイッチ。産業機械や自動車など、強い電力を扱う機器で使われる。
電磁石:
電流を流すことで磁力を発生させる装置。パワーリレーでは、この磁力を使って接点の開閉を行う。
接点:
電流を通すために接触する導体部分。開閉によって回路のオン・オフを切り替える役割を持つ。
アーク放電:
高電圧で接点が開く瞬間に発生する電気火花。パワーリレーでは接点の損傷を防ぐための耐アーク設計が重要。
コイル:
電線を巻いて作られた部品で、電流を流すと磁界を生み出す。パワーリレーの動作の起点となる。
ソリッドステートリレー(SSR):
可動部を持たず、半導体素子で回路を制御するリレー。高速スイッチングや長寿命が特徴。
ラッチリレー:
一度励磁するとその状態を保持できるタイプのリレー。記憶回路などの省エネ用途に使われる。
PCBパワーリレー:
プリント基板に直接実装される小型のリレー。家電や産業機器の省スペース化に貢献する。
絶縁性能:
電気を通さない性質。高電圧環境でも安全に動作するために必要な重要特性。
FA機器:
Factory Automation(工場自動化)機器の略。パワーリレーはこれらのモーターや制御系で広く活用されている。
西進商事コラム編集部
西進商事コラム編集部です。専門商社かつメーカーとしての長い歴史を持ち、精密装置やレーザー加工の最前線を発信。分析標準物質の活用も含め、さまざまなコラム発信をします。
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