SEISHIN Story
西進ストーリー
Supporting Safety
Story 03
世界の製造業と
暮らしの安全を支える
世界の製造業と
暮らしの安全を支える
「標準物質」とは、物質の種類や濃度の分析、計測の基準となる物質のこと。製品の品質を正しく計測するだけでなく、近年では水質や土壌、大気といった環境汚染対策としても欠かせません。西進商事は70年近くさまざまな標準物質と分析機器を納入し、経済の発展と自然環境の共存に貢献してきました。この記事では、西進商事と標準物質との関わりについて、営業部で分析事業を担当している田中さんにお話を伺いました。
標準物質の取り扱いはいつ頃から始まったのでしょうか?
田中西進商事と標準物質の歴史は古く、1950年代には蛍光分析装置に必要な鉄工標準物質をアメリカから輸入しています。 1966年にアメリカ・スペックス社の総代理店になったことで、重工業分野だけでなく、国立がんセンターといった医療分野の研究機関など、幅広い取引先に標準物質や分析機器を納入するようになりました。
製造業が急速に成長し、日本社会が豊かになる一方で、1970年代になると
環境破壊や公害が大きな社会問題になりました。
西進商事ではそのような社会問題へどのようなアクションを取ったのですか?
田中人体に影響を与える公害は、西進商事としても見て見ぬふりはできない問題でした。1968年に起きたカネミ油症事件※1を受け、ポリ塩化ビフェニル(PCB)を検出する装置を開発・販売しています。1980年にスタートした水質総量規制※2にあわせ、油漏れ検知器の取り扱いや、環境保全分析装置の販売を始めるなど、社会課題の解決に取り組んできました。
環境に配慮した取り組みは、日本だけでなく、世界からも求められていますね。
田中そうですね。2001年、大手電機メーカーが製造するゲーム機のコードに、ヨーロッパの環境基準を超える有害物質が含まれていたため、出荷停止となった事件にはびっくりしました。その後、ヨーロッパに製品を輸出するには、RoHS(ローズ)※3が定める品質を満たさなくてはいけなくなりました。
EU(欧州連合)の環境規制の一つで、厳しい環境基準ですよね。
田中西進商事では、自社製の標準物質(銅・アルミ)をいち早く開発し、世界に先駆け製品化に成功します。2004年から納入を開始し、国内外に我々の存在感を高めるきっかけになりました。環境規制をめぐる標準物質の開発は続き、2018年にはRoHS対応フタル酸エステルの標準物質などのオリジナル新製品が完成し、時代が求める高い品質管理に応え続けています。
※1 カネミ油症事件
カネミ倉庫社製「ライスオイル(米ぬか油)」を製造する脱臭工程で、熱媒体として使用されていたポリ塩化ビフェニル(PCB)、ダイオキシン類の一種であるポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)などの混入を原因とする食中毒事件。
※2 水質総量規制
東京湾や瀬戸内海といった水の入れ替わりが少なく、水質汚濁などが起こりやすい閉鎖性海域に工場を持つ企業に対し、汚濁物質の総量を基準値以下に削減する制度
※3 RoHS(ローズ:特定有害物質使用制限)
電気・電子製品への鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、ポリ臭化ビフェニル、ポリ臭化ジフェニルエーテルの六物質の使用を原則禁止とする指令
有機分野という
新たなフロンティアを開拓
近年では、どのような取り組みをされているのでしょうか?
田中化学分析や計測だけでなく、医療品などの有機分野へも進出しています。超高齢化社会を迎え、医療費削減は喫緊の課題です。ジェネリック医薬品(後発医薬品)の利用が求められるのにあわせて、医薬品に含まれる類縁物質(有機不純物)を計測する標準物質が注目されるようになります。2008年、イギリスのLGC Standards社の認定代理店となったことで、世界規模の幅広い技能試験が可能になりました。
他にはどのようなものがありますか?
田中2012年には、脱法ハーブ(危険ドラッグ)の分析に必要な標準物質、100数十種類を警察の研究所に納入しています。このような有機分野への進出は、我々にとっても大きな一歩となりました。
今後の展望を教えてください。
田中今後も時代に即した標準物質を世界に提案していくことが、私たちの使命だと考えています。70年以上の歴史があり、輸入販売からスタートした標準物質事業も、今では自社や国内で開発した標準物質を工業先進国に輸出するまでに成長しました。日本だけでなく、世界の産業発展、地球の環境保全など、人と経済、自然が未来にわたって共存できることを目指し、これからも成長していければと思います。
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